アウトリーチ(芸術家派遣事業)を実施しました。

当法人では、令和2年度より、福岡県から「福岡県障がい者文化芸術活動支援センター(FACT)」の運営を受託しており、独自の事業を展開しながら、障がいのある人の文化芸術活動の推進に取り組んでいます。

昨年度から、障がい者アートの側からアプローチすべく、学校現場に芸術家を派遣する「アウトリーチ(芸術家派遣)事業」を実施しております。児童生徒に対して、普段触れることの少ない障がい者アートを体験する機会や多様な人々との交流の機会を提供することで、豊かな感性を養うとともに、障がい者の文化芸術活動に関心を持ってもらえるよう、校内における授業や行事で本事業の活用をしていただければと思います。

今年度予定しておりましたアウトリーチが全て完了しました。

冬季に予定していたものは、インフルエンザ等の感染症の影響も考慮しながらではありましたが、状況に引けを取ることなく、素晴らしい時間になりました。

アウトリーチのとき、毎回学校にお願いしていることの一つに、「名札」があるんですが、この名札はいつも学校でつけてるものではなく、「アーティストネーム」としての名札です。
子どもたちには自分が好きな名前、呼ばれたい名前を考えてもらい、見えるところにつけてきてもらいます。

わたしはこの名札が好きで、いつも一人一人の名前を見て、クスッとしたり、どうしてそれになったのか
その子に思いを馳せたりしています。この名札も自己表現であり、コミュニケーションのきっかけの一つだなと感じています。

実際に「どうしてその名前なの?」と聞いてみると、名前に対しての止まらない想いを語ってくれたりして、想像力の高さに圧倒されます。

自分はいつも安牌にただファーストネームを書いてしまうだけ、、子どもたちと話していると、自分を俯瞰して考えるきっかけになります。

表現することって人によっては恥ずかしかったり、勇気がいることだけど、誰かが思いっきり表現してる姿を見ると、自分も表現して良いんだ、とか、自分もやってみたい、とかいう気持ちが生まれて、一緒に動いてやってみる。

それがどんどん伝播していったら楽しくなって、最終的にみんなで一つのものを作ってた。アウトリーチの時間では、そんな瞬間を見ることが多々ありました。

子どもたちだけでなく、先生たちも一緒になって、大人も子どもも、障がいの有無も関係なく、みんなで表現を楽しむ場という感じでした。アーティストの方々は表現のプロであるからこそ、そこを引き出すのが抜群に上手く、毎回感動しています。

工房まるに所属しているアーティストの山野井さんは、車椅子ユーザーで難聴もあり、目も見えにくいです。
山野井さんは様々な方法でコミュニケーションを取ることを求めていて、いつも会った時は声をかけてくれます。私はそれが嬉しいし、山野井さんも楽しんで会話をしてくれるので、ついいつも長話をしてしまいます。

「声をかける」とか、「話す」とか書いていますが、実際に山野井さんが音として声を発しているわけではないんです。手話を使ったり、身振り手振りで表したり、筆談したりで会話しています。

全然違和感なくこれが本当に「会話してる」って思うんです。人って言葉がなくても会話ってできるんだなって教えてもらいました。様々な表現を普段から行なっているゆえに、ダンスのセンスも抜群です。初めは距離があった子どもたちを一瞬で虜にし、最後はみんなが山野井さんと関わりたいと長蛇の列ができるほど人気者です。

アーティストさんとの出会いや交流で、今まで抑えていたことを開放したり、気が付かなかった自分の可能性を見つけるかもしれません。子どもたちの教育の場で、そんなきっかけが作れる機会が増やせると、豊かな考えが広がっていくのではないかと思います。

アウトリーチは来年度も実施し、引き続き学びと交流の場を作り続けていきたいと思います。皆様とご一緒できることを心待ちにしております。