8月24日(木)、アクロス福岡にてアートサポーター養成講座 文化芸術と福祉がつながる「レクチャー&交流会」を開催しました。
過去何度か開催を重ねてきている“文化芸術と福祉がつながる”シリーズ。今回は文化芸術と福祉、両方の事例から参加者の方々との意見交換・交流の場を作ることを目的として実施。
文化施設関係者、福祉施設関係者の他、学生や行政関係者など幅広くオンライン、会場合わせて総勢20名の方に参加いただきました。
ゲストはひまわりパーク六本松でアート支援員をされている山中理恵さん、アクロス福岡で事業部ディレクターをされている添嶋麻理さんのお二人。それぞれの分野で実際に切り開かれてきた事例を紹介いただき、後半のディスカッションへと繋げていきました。
まず初めに、当センター長の樋口から、過去の取り組みの紹介や、福祉施設に対して行った文化芸術活動に関するアンケート、及び文化施設に対して行った障害のある人たちの芸術活動・鑑賞に関するアンケートの結果から見えてきた現状の話からスタート。その結果を踏まえて行った「現場体験ワークショップ」の話しやおなじみ「社会モデル」についての話、さらには行政における条例や法律の話からビジネスイノベーションの話までを、熱量高く語りました。
次に発表者の山中さんより「福祉施設における環境設備について」ひまわりパークの前身での清掃活動からどのようにアート活動へと移行していったのかをお話しいただきました。現在も簡易作業と創作作業のバランスをとりながら臨機応変に対応されているそうでコロナ禍での在宅ワークにおける工夫なども伺えました。
創作活動のモチベーションを保つために、美術館に行くことによって絵を描くことの意味を実感してもらったり、年間スケジュールを立てたり、身体ワークショップなども行っているとのこと。さらにアートの始め方や廉価で機能的な画材の紹介や、道具や原画の管理方法、グッズ展開についてなど盛りだくさんでご紹介くださいました。
自分で考えて表現することで人と繋がり、人から直接評価を受け取ることで家族の方も喜んだり誇りに思ってくれたりすることがまた本人の喜びとなるという連鎖に心が温まりました。
続いて、今回の会場でもあったアクロス福岡の添島さんからは知的・発達障がい児(者)にむけての劇場体験プログラム「劇場って楽しい」の事例について紹介いただきました。
この事業を始めるきっかけや1人で進める上での苦労話、そして回を重ねるごとに増え続ける参加者の推移や積み重なる工夫など、生の経験からのをお話しをたっぷりしていただきました。事前に障害特性を学ぶスタッフ研修を行ったり、案内表示や運営スタッフの名札を工夫したりしながら手探りで独自に事業展開をされている様子はとても興味深く、特に支援学校へのアウトリーチでの経験から、ちょっとした声掛けを工夫するようになったというお話がとても印象的でした。また、イヤーマフの存在をこのイベントで初めて知ることになる親御さんが多いという実態にも驚きました。
後半のディスカッションではでは具体的な質問や生々しい回答、切実な悩みなどで大盛り上がり。
参加者の皆さんからは
・地域とのつながりを事業所の方が大切に考えてあるのを知ってお互いに不安など、共有できる場があれば多くのことに向き合い方も変わってくると思いました。支え支えられですね。
・実際に文化施設や福祉事業所の現場で動かれている方々の話を聞き、理解が深まりました。行政として支援できること、考えていきたいと思います。
・色々活動されている方の話を聞くことができて何か一緒にしたいと思うことばかりでした。文化施設として、皆さまに役に立つ場でありたいです。
・皆さんが本音で話してくれていたので、来てよかったなと思いました。
等、それぞれの立場からの様々な嬉しい声をいただきました。
会の最後に、山中さんからは「アートには賞味期限がないから手がつけやすいよ〜」ということや「あなたのファンなんです!」と直接言われることがいかに尊いかというお話しを、そして添島さんからは「(劇場って楽しい!を)県の施設としてやるべきやろ!」という直感を信じ、誰も味方がいないところからはじめて、今ではやって当たり前の事業になったという経験から「とりあえずやっちゃえ!」というまとめををいただき、参加者の皆さんへのエールとなりました。